顎関節症の本当の原因
顎関節症と筋肉
お食事中に口が痛くなったり、開かなくなることはありませんか?無理にあけてしまうと顎からバキッとへんな音がして顎関節に痛みがはしってしまう。また、ふと気づくと顎が痛いなどの症状も。顎の関節は下顎の上端の下顎頭などの骨、顎を動かす筋肉のそしゃく筋、関節を取り巻く関節包や骨をつなぎとめる靭帯、下顎頭を覆うような円板や軟組織といくつもの部分でできています。それらすべてと連携しているのが「筋肉」です。この筋肉に異常をきたすと顎のさまざまな部分に障害が発生します。顎関節症というとよく骨の病気だと思われがちですが、その骨を動かしている筋肉の異常によって骨や軟組織に異常が発生しているのです。顎関節症の本当の原因は「筋肉」にあることがほとんどです。
筋肉の異常とはなにか?
みなさん、人間の顔の周りには何個の筋肉が存在するかご存知でしょうか?実は30個も存在します。
話をするとき、食事をするとき、笑うとき、この筋肉をフル稼働させ、顔全体を動かしています。
よく「目が痙攣する」という現象が起こる方がいますが、これはまさに筋肉が痙攣しているから起こることです。これと同じで、顎の周りの筋肉も痙攣ではありませんが、異常をきたすことがあります。
それは「断続した筋肉の緊張」というものです。顎の筋肉が緊張すると筋肉が硬くなり、噛みしめが強くなったり、顎の稼動範囲が狭くなるのです。
なぜ筋肉の緊張は起こるのか?
原因の多くはストレス、精神的な緊張だといわれています。
ストレスから無意識に歯を食いしばったり、歯ぎしりをしてしまったりと、顎の筋肉を緊張させる状態や悪い習慣が続くとこれが断続的に起こってきます。脳が感じたストレスを歯ぎしりや噛みしめによって解消しようとしているのです。
ストレスにも種類がある
ストレスには大きく2種類あります。肉体的ストレスと精神的ストレスです。
精神的ストレスは現代社会の問題となっており、人間関係や仕事などでの問題を抱えていらっしゃる方が多いと聞きます。生きていく上で避けては通れないものですが、あまりに大きすぎると問題です。肉体的ストレスとは、過労、栄養不足、睡眠不足などがあげられます。この中で一番気づきづらいのが栄養不足です。
過労や睡眠不足は自分自身認識しやすいですが、栄養不足はあまり目立った信号がでないため、認識しづらくなります。人体は役60兆個の細胞によって造られていますが、この細胞1つ1つに栄養が通った状態でないと栄養不足によるストレスが発生し、自分が気づかない間にそれが顎の筋肉の緊張としてあらわれることがあります。
顎関節症を引き起こすその他の原因について
顎関節症の主な原因は上記のようなストレスや癖による歯ぎしり・食いしばりですが、その他にも顎関節への負担が大きく、顎関節症リスクを高めてしまう習慣があります。顎関節症の予防、症状を緩和するためにもご自身で意識し、癖や習慣を改善するよう心がけましょう。
TCH(歯列接触癖)
通常、咀嚼時以外は上の歯と下の歯は接触せず、少し隙間が開いています。しかし、無意識下で上下の歯を噛み合わせていることが癖になっている人もおり、その癖をTCH(歯列接触癖)といいます。
TCHは顎の筋肉の疲労をはじめ、顎関節、歯への負担が大きく、顎関節症リスクを高めてしまいます。上下の歯を常に噛みしめているという自覚がある場合は、意識して離すようにし、少しでも顎関節症の防止・緩和を心がけましょう。
日常的に楽器の演奏・激しい運動をする
バイオリンは顎で楽器を抑えて演奏するため、長時間演奏する場合は顎に大きな負担がかかります。また、吹奏楽器についても下顎の後ろ側に向かって力がかかるため、顎関節の弱い方は特に負担が大きいといえます。
また、激しいスポーツでは歯を食いしばって瞬間的な力を発揮することも多いため、注意が必要です。
前傾姿勢(猫背など)
下顎は通常、頭蓋骨と筋肉にぶら下がっている状態でバランスが良い場所に収まっています。
しかし、テレビゲームやパソコン、スマホなどで前傾姿勢が長時間続くと、正しい位置とは違う場所に下顎が収まるってしまうため、顎関節への負担が大きくなり、顎関節症リスクを高めてしまいます。