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「歯ぎしり」と「食いしばり」ってどう違うの?

投稿日:2025年8月1日

カテゴリ:歯ぎしり・食いしばり

今までの記事では「歯ぎしり食いしばり」とまとめて記していましたが、この2つは似て非なるものです。

今回は「歯ぎしり」と「食いしばり」の違いについて、症状・原因・メカニズム・対策まで詳しく解説し、適切な対処を見つけるヒントをお話したいと思います。


歯ぎしりと食いしばりの違い【比較表】

まず、簡潔に違いについてまとめてみました。

項目

歯ぎしり(Bruxism) 食いしばり(Clenching)
主な動き ギリギリと左右前後方向に歯を擦り合わせる動き 垂直方向にグッと強く噛み締める動き
時間帯 主に就寝中に起こる 日中または就寝中にも起こる
音の有無 音がする事が多い 音は出にくい
自覚しやすさ 他人に指摘されて気づくことが多い 自分で気づくこともあるが、多くは無意識
筋肉の影響 側頭筋、咬筋が過度に疲労する 咬筋への負荷が強く、顔のエラ張りの原因にも
歯への影響 歯根破折、歯の摩耗、亀裂、知覚過敏、詰め物の脱落、歯周組織への負担 歯根破折、歯の摩耗、亀裂、知覚過敏、詰め物の脱落、歯周組織への負担

歯ぎしりとは?

特徴

歯ぎしりとは、上下の歯をギリギリとすり合わせること全般を指す言葉で、専門用語では「ブラキシズム(Bruxism)」とも呼ばれます。多くは就寝中に無意識に起こるため、自覚がないまま症状が進行することが多いです。小児の場合、音を面白がって歯ぎしりをするケースがあるみたいです。

主な症状

原因

食いしばりとは?

特徴

食いしばりは、歯を強く垂直方向に噛み締めることで、睡眠中だけでなく日中の仕事中や運転中、緊張状態のときに無意識に行っている人が多くみられる印象です。近年では、テレワーク中やスマートフォン操作時に無意識に食いしばる人が増えています。

主な症状

原因

歯ぎしり食いしばり共通のトラブル

両者に共通して起こりうるトラブルは以下の通りです。

これらの症状は、日常的な不調の原因が“歯ぎしり食いしばり”にあると気づかれにくいのが問題です。一見関連のなさそうな症状が歯ぎしり食いしばりという同じ問題に端を発していることは意外と知られていないかもしれません。


歯ぎしり・食いしばりの対策方法

1. マウスピース(ナイトガード)の装着

歯ぎしり食いしばりから歯や顎を守る方法として最もポピュラーな方法です。歯科医院で作るオーダーメイドのマウスピースで、歯や顎関節へのダメージを緩和してくれます。特に就寝中に有効です。

2. 咬筋のボトックス注射

エラが張るほどの強い歯ぎしり食いしばりがある場合は、ボツリヌストキシン(ボトックス)を注射して咬筋の過緊張を緩和する方法もあります。咬筋の過緊張を緩和することで歯ぎしり食いしばりによって生じる

3. ストレス管理・メンタルケア

ストレスは最大の要因です。深呼吸、瞑想、軽い運動などを日常的に取り入れ、心身のリラックス習慣を意識的に持つことが大切です。

4. 姿勢の見直し

前屈みの姿勢や猫背は、無意識の食いしばりを助長します。デスクワーク中は姿勢を正し、顎の力を抜く習慣を持ちましょう。しかし、呼吸環境(起動や咽頭の広さなど)の問題で頭を前に出さないと(=猫背にしないと)息苦しくなるケースも散見されます。

5. 日中の「気づきトレーニング」

「上下の歯は離れているのが正常な状態」です。日中にふとしたときに「今、歯を噛んでいないか?」と意識するだけでも、習慣化された食いしばりを緩和できます。


まとめ

歯ぎしりと食いしばりは似て非なるものですが、どちらも放置すると歯や顎、全身に深刻な悪影響を与える点では共通しています。

比較項目 歯ぎしり 食いしばり
動き ギリギリ横に擦る 垂直方向に噛みしめる
主に起こる時間 就寝中 日中・就寝中両方
あり なし
自覚 他人に指摘される 自覚しにくいが気づく人もいる

大切なのは、自分の癖を早期に認識し、適切な対策を講じること。歯科医院での診断を受ければ、自分が歯ぎしりタイプなのか、食いしばりタイプなのかを明確にし、それに合った治療・予防法を提案してもらえます。

「なんとなく顎が疲れる」「朝起きてもスッキリしない」と感じている方は、まずは専門家に相談してみましょう。あなたの不調の原因が、実は“噛みしめ癖”だった、なんてこともありえるかもしれませ​ん。

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