顎関節症って予防できるの?
投稿日:2025年9月17日
カテゴリ:顎関節症
「口を開けるとカクッと音がする」「顎がだるい」「硬いものを噛むと顎が痛い」――これらは顎関節症の典型的な症状です。
一度発症すると慢性的に症状を繰り返すことが多く、食事や会話に支障をきたし、肩こりや頭痛など全身にも影響を及ぼすことがあります。
では、こういった一度出ると厄介な顎関節症を予防する方法はあるのでしょうか?
結論から言えば、完全に防ぐことは現状難しいものの、日常生活での習慣を意識することでリスクを大きく減らすことが可能です。
今回は、顎関節症を予防するために知っておきたいポイントを整理してみましょう。
顎関節症はなぜ起こるのか?
顎関節症は原因が一つではなく、複数の原因が複数ある程度の期間にわたって重なると起こるとされています。改めて、顎関節症の原因とされていることを整頓してみましょう。
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・歯ぎしり食いしばりなどの過剰な顎や顎関節への負担
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・好ましくない姿勢による顎関節への過負荷やストレス
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・片側ばかりで噛んだりといったバランスの偏った動作
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・周囲環境に由来する精神的ストレスによる筋肉の緊張(交感神経優位になりやすい環境)
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・噛み合わせの不調和による顎関節への負担増加
- ・習慣や仕事の業務内容などによる日常的な顎への負担
基本的に日常の癖やライフスタイルが影響している要因が多いため、生活習慣を見直すことが予防につながりやすいですが、その一方で顎の周囲の成長発育といった根本的な原因も存在します。
顎関節症を予防するためのセルフケア
1. 食生活に注意する
硬い食べ物(せんべい、ナッツ、フランスパンなど)や、大きな食べ物(ハンバーガーなどを無理に大きく口を開けてかじる動作)を口にする頻度が多い場合、顎関節に負担を習慣的に与えていることになります。個人差はあると思いますが、顎への負担を考慮するならば食べ物の形態や性状であったり、そういった食事を摂る頻度は十分範疇に含まれる内容になります。
2. 姿勢を見直す
長時間にわたるスマートフォンの使用やデスクワークは、首から顎にかけての筋肉に余計な力をかけます。頭が前に出た(=猫背のような)姿勢は、実は顎関節にとって大きな負担です。成長発育の盛んな時期であれば、なおのこと影響が大きくなります。画面の高さを目線に合わせられるようにして、背筋が曲がらないよう心がけましょう。
また、無意識のうちにしてしまいがちな頬杖や、片方の歯だけで食べ物を噛む習慣は顎の関節に偏った負担を与え、顎関節症を引き起こしやすくします。普段から左右均等に噛むことを意識するとともに、頬杖はできるだけ避けましょう。
3. 歯ぎしり食いしばり対策
歯ぎしり食いしばりは、顎関節症の原因でもあり、結果でもあります。いうなれば歯ぎしり食いしばりと顎関節症は互いに増悪し合う関係性と言えるでしょう。
少しでもそういった状況を緩和するために簡単に始められることとして「上下の歯を離す意識」を意識的に気付けるような仕組み(リマインダーの利用など)作りがあります。それにより顎周囲がリラックス出来る状態を少しでももうけられるようにしましょう。
睡眠中の歯ぎしり食いしばりが強く、顎周囲に症状が現れている場合は、歯科医院でマウスピース(ナイトガード)を作成して使用するのが簡便で効果的です。ほかにも、ボツリヌストキシン注射を行って顎への過剰な負担を軽減させたり、睡眠時の眠りの質を向上させることで歯ぎしり食いしばりの頻度を減らす試みで予防するのも有効です。
歯科医院でできる予防的アプローチ
セルフケアで十分にコントロールできない場合、歯科医院での相談が効果的です。
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・マウスピース(ナイトガードやスプリント)の作製
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・噛み合わせのチェックや調整
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・噛み合わせの是正を目的とした矯正治療による改善
ほかにも、顎のトラブルに対して理学療法や運動療法の指導を精力的に行っている歯科医院もあります。
「まだ軽い症状だから…」と自己判断で放置すると悪化するリスクがあります。早めに相談することで、予防的に対応できるケースも少なくありません。
まとめ:予防も発症も「小さなことの積み重ね」
顎関節症は完全に予防することは難しいものの、
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・食生活の工夫
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・姿勢の改善
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・癖や習慣の見直し
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・必要ならストレスマネジメント
といった日々の小さな取り組みでリスクを大きく減らすことができます。もちろん手に余るとあれば、歯科への受診を経て適切な治療や指導を受けるようにしましょう。
顎の関節や筋肉に優しい生活習慣を積み重ねることこそが、顎関節症を防ぐ最良の方法といえます。
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