歯ぎしり食いしばりが原因で顎が痛むのはなぜですか?
投稿日:2025年6月13日
カテゴリ:歯ぎしり・食いしばり 顎関節症
朝起きたときに「なんだか顎がだるい」「口を開けると痛い」…そんな経験はありませんか?それ、もしかすると歯ぎしり食いしばりが原因かもしれません。歯ぎしりは就寝中に無意識に行われることが多く、知らず知らずのうちに顎に大きな負担をかけています。
この記事では、なぜ歯ぎしり食いしばりが顎の痛みを引き起こすのか、そのメカニズムについてお話していきたいと思います。
歯ぎしり食いしばりとは?
そもそも歯ぎしり食いしばりとは、上下の歯を無意識に強く噛みしめたり、こすり合わせたりする行為のことを指します。主に以下の3タイプがあります:
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・グラインディング(こすり合わせるタイプ)
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・クレンチング(強く噛みしめるタイプ)
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・タッピング(歯をカチカチと打ち鳴らすタイプ)
- ・混合型(上記の3つが組み合わさって発現しているタイプ)
多くの場合は睡眠中に起こるため、本人が気付かないことが多く、家族やパートナーから指摘されて初めて自覚するケースもあります。
歯ぎしり食いしばりが顎に与える影響
歯ぎしり食いしばりによって起こる顎の痛みの主な原因は、顎の筋肉の過緊張や顎関節にかかる過度な負荷です。
顎を噛みしめる動きをするときに使う筋肉、特に「咬筋(こうきん)」や「側頭筋(そくとうきん)」といった筋肉は、日常的な咀嚼動作で使用される筋肉です。これらの筋肉は、強い力で歯を噛みしめたりこすり合わせたり、必要以上に歯と歯が接触し続けることで、緊張状態(力んだ状態)になります。
このような状態が続くと、筋肉が疲労し、痛みやだるさを引き起こすのです。いわば筋肉痛のような状態です。
また、顎関節には上記のような筋肉の働きにより大きな負荷がかかります。顎関節にかかる力が持続的に加わることで、顎関節周囲が傷んでしまい、顎を動かしたときの痛みの原因となったりします。
歯ぎしり食いしばりが起こる原因
歯ぎしり食いしばりの原因は一つではなく、複数の原因・要素が互いに関与して発生すると言われています。それらの主なものとしては以下のようなものがあげられます:
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・ストレス
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・噛み合わせのズレ
- ・歯並びの乱れ
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・睡眠の質が悪い(眠りが浅い)
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・遺伝的要素
- ・呼吸環境が悪い(喉の奥が開いていない)
特に現代においては日常生活の中でストレスを感じやすい背景があり、それにより他の要因も誘引しやすい状態が常に存在しています。そのせいで知らぬ間に歯ぎしり食いしばりをしてしまっていることも散見されます。
では、歯ぎしり食いしばりによる顎の痛みを防ぐには?
歯ぎしり食いしばりによる顎の痛みを防ぐためには、以下のような対策が有効です:
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・マウスピースの装着
歯科医院で作成されるナイトガード(就寝中に装着するマウスピース)は、歯ぎしり食いしばりによって生じる歯と顎へのダメージを和らげるのに有効です。 -
・ストレスの軽減
環境や人間関係といったところから生じるストレスは、程度はありますがリラクゼーションや運動、趣味などを通じてコントロールすることができます。 -
・睡眠環境の改善
質の良い睡眠を取ることで、就寝中に起こる無意識の歯ぎしり食いしばりの頻度を減らすことができます。歯ぎしり食いしばりはREM睡眠(=夢を見たりする比較的浅い睡眠の段階)中に生じやすいので、歯ぎしり食いしばりを減らすには質の良い睡眠を得て深い眠りの時間を増やすことが重要といえます。 -
・噛み合わせ治療
噛み合わせの診査診断を行うことで歯ぎしり食いしばりが頻繁に生じるメカニズムを把握することができます。それを経て、噛み合わせの調整や、矯正治療を用いた顎関節症の治療も含め、専門的な治療を受けることも十分検討する価値がある選択肢です。
まとめ
歯ぎしり食いしばりは単なる癖ということもありますが大抵は原因が存在します。
顎や歯に深刻なダメージを与える可能性のある行為ですので、痛みがある場合は早めの対処が大切です。気づかないうちに顎や歯を痛めてしまう前に、原因を究明し、適切な対策を講じるようにしましょう。
「朝起きたときに顎が痛い」「最近あごに違和感がある」と感じたら、それは体が出しているサインかもしれません。一度、歯科医院で相談してみてはいかがでしょうか?
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