顎関節症で痛くて眠れない時の対処法はありますか?
投稿日:2025年5月11日
カテゴリ:顎関節症
顎関節症は、顎の痛み、口を開け閉めするときの違和感や不快感、耳の周りの違和感など、さまざまな症状を引き起こします。特に、痛みが強くて夜眠れないほどになると、日常生活に大きな支障をきたすことでしょう。今回は、顎関節症による痛みで眠れないとき、どのように対処すればよいのか、痛みの原因ごとに効果的な対処法を整理してご紹介します。
1. 顎の筋肉の緊張が原因の痛みの場合
顎を動かすための筋肉(咬筋、側頭筋など)が過剰に緊張していることで、痛みが生じているケースです。特に慢性的なストレスや歯ぎしり食いしばりが原因となることが多いです。
【対処法】
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・温める:ホットタオルを使って顎の筋肉周辺をじんわり温めることで、血行を促進し筋肉の緊張を和らげます。
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・マッサージ:上記の方法で温めた状態で、軽い力で咬筋や側頭筋をマッサージすることで、筋肉のこわばりをほぐしていきます。ただし、この場合は痛みを感じるほど強く押さないよう注意しましょう。
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2. 顎関節自体の炎症が原因の痛みの場合
顎関節内部(関節円板や滑膜など)に炎症が起きている場合、強い痛みを感じることがあります。口を開けたり、動かすだけで激痛が走ることもあります。殴打などによる外傷が原因で生じることがあります。
【対処法】
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・冷やす:痛みを伴う炎症がある場合は温めず、冷たいタオルで顎を冷やすことで炎症を抑え、痛みを軽減させるようにしましょう。15分程度を目安に、氷や氷嚢で冷やしすぎると逆に血流が増してしまい逆効果ですので注意しましょう。
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・安静にする:痛みがある場合は当然のことながら、できるだけ顎を動かさないようにし、硬いものを食べるのは避け、柔らかい食事に切り替えるのがよいでしょう。
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・消炎鎮痛剤の使用:市販されている消炎鎮痛薬(例:ロキソニンなど)を一時的に使用するのも手ですが、必ず用法・用量を守りましょう。
3. 咬み合わせのずれが原因の痛みの場合
歯並びや咬み合わせが悪く、顎に不自然な負荷が長期にわたりかかり続けることで、歯や顎関節や周囲の筋肉に痛みが生じることがあります。
【対処法】
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・就寝時の頭位に留意する:横向きやうつ伏せで寝ると顎にかなりの力がかかることがあるため、できるだけ仰向けで寝るようにするのが良いでしょう。
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・ナイトガードの使用:歯科医院で作製されるマウスピース(ナイトガード)を使うことで、顎関節や歯への負担を軽減させることができるで痛みを和らげることができます。
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・咬み合わせ治療の検討:根本的な改善を目指すなら、歯科医師に相談して噛み合わせの調整や噛み合わせを再構成する矯正治療を検討してみるのも良いでしょう。
眠れない夜が続く場合は必ず専門医へ相談を
これらの対処法を試しても症状が改善しない場合や、逆に痛みがどんどん悪化していく場合は、自己判断せず歯科医院(特に顎関節症専門医)を受診するようにしましょう。適切な診査診断を受け、マウスピース療法、理学療法、薬物療法、矯正治療といった手段を用いて問題の解決を図る必要があります。症状が重度であったりすると、場合によっては外科的アプローチなどの専門的な治療が必要となることもあります。
まとめ
顎関節症による痛みで眠れないときは、痛みの原因に応じた正しい対処法を選ぶことが重要です。
顎の周囲の筋肉の過度な緊張によるものなら温めて、顎関節の炎症による痛みであるなら冷やす、といった罨法をまずはじめに実践するとよいでしょう。
しかし可能であれば、症状の程度によらずにできるだけ早めに歯科医院での診察・検査を受けるようにするのがよいでしょう。診査診断を経て適切な指導・治療を受け、夜ぐっすり眠れる日を取り戻せるように早めの対策を心がけましょう。
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