歯ぎしり食いしばりは自分で気付くことってできるの?
投稿日:2025年7月2日
カテゴリ:歯ぎしり・食いしばり
「朝起きたときに顎が疲れている気がする」「なんだか歯がしみるようになってきた」…そんな経験、ありませんか?
実はそれ、もしかすると“歯ぎしり食いしばり”が原因かもしれません。
でも、歯ぎしり食いしばりって寝ている間にしているものだから、「自分がしているかどうかなんてわからない」と思いますよね?
というわけで今回は、「歯ぎしり食いしばりは自分で気づけるのか?」という視点から、そのサインや対策についてお話ししていきます。
そもそも歯ぎしり食いしばりって?
歯ぎしり(=ブラキシズム)は、上下の歯を強くギリギリとこすり合わせたりすることで、また食いしばり(=クレンチング)は、上下の歯を強く噛みしめることです。これらは音がすることがあります。多くの場合、睡眠中に起きるため、自覚しにくいという特徴があります。
そしてもう一つ、歯ぎしり食いしばりを語るうえでの大前提となる特徴があります。それは、どんなに健常であったとしても歯ぎしり食いしばりを100%抑止は出来ないということです。身体的に許容できる以上の歯ぎしり食いしばりが悪影響を及ぼしているということです。
実は、現代においてはほとんどの人が必要以上の歯ぎしり食いしばりをしているともいわれています。しかも、多くの人が自覚がないまま放置してしまっているのが現状です。
歯ぎしり食いしばりの自覚症状とは?
では、どうすれば自分が歯ぎしり食いしばりをしていることに気づけるのでしょうか?実は、いくつかの“サイン”があります。
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・朝起きたときに顎がこわばっている、痛む … 就寝中の歯ぎしり食いしばりで顎の筋肉を酷使している可能性があります。
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・歯にヒビが入っていたり、すり減っている感じがする … 歯ぎしり食いしばりによって歯に急激な力が加わったことで亀裂が生じたりすり減ったりします。
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・詰め物や被せ物がよく取れる … 歯ぎしり食いしばりによって詰め物や被せ物が必要以上に揺さぶられて外れてしまうことがあります。詰め物や被せ物の設計によほどの無理がない限り大抵の場合、これが原因であることが多いです。
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・歯ぐきが下がってきた気がする … 歯ぐきが下がって歯が長く見える原因として、歯ぎしり食いしばりがあります。(他にも歯周病が原因となることがあります。)実は加齢は主要な原因ではありません。
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・肩こりや首のこり、頭痛が続く … 日常的に歯ぎしり食いしばりによって顎の周囲の筋肉が緊張していると、更に園周辺の首や肩、側頭部の筋肉まで影響されてトラブルが生じます。
こういったサインは本人でも気づきやすい“間接的な証拠”といえるでしょう。
また、家族やパートナーから「夜中にギリギリ音がしてたよ」と指摘されて初めて気づく人も少なくありません。
自分の歯ぎしり食いしばりに気付かないまま放置するとどうなる?
歯ぎしり食いしばりは一時的なものなら大きな問題にならないですが、慢性的・長期的に続くと以下のようなリスクがあります。
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・歯の摩耗・破折 … 歯が摩耗することで噛み合わせが変化していくだけでなく、知覚過敏を併発する可能性があります。また歯が破折した場合、割れ方によっては歯の神経を取ったり(抜髄)、抜歯が必要になるケースがあります。
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・顎関節症(顎が開かない、痛むなど) … 顎関節に過剰な力がかかり続けることで顎関節症になったり、顎関節症そのものが増悪することがあります。
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・肩こり・頭痛 … 歯ぎしり食いしばりで顎周囲の筋肉を酷使し、緊張状態が慢性的に続くことで顎周囲の筋肉に近接する筋肉群にもその緊張状態が伝播します。それにより肩こりや偏頭痛を引き起こすことがあります。
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・歯周病の悪化 … 歯ぎしり食いしばりをすることで上下の歯が揺さぶられます。それにより歯を支えている骨が歯周病原菌が関わっていないのにまるで歯周病になったかのように溶けてしまいます。歯周病環境下でそういった事が起こると、言うまでもなく病状が悪化します。
・むし歯のリスクの増加 … 上下または前後に隣接する歯同士が歯ぎしり食いしばりのような強い力で擦れ合ったり接触し続けることで、歯の表面に細かいヒビ(マイクロクラック)が入ります。そのヒビのなかにむし歯菌が侵入することで、徐々にむし歯が進行していくことになります。しっかり歯磨きしているはずなのにむし歯治療を頻繁にしている場合、大抵の場合歯ぎしり食いしばりが関与しているようです。
自分でできるチェック方法
歯ぎしり食いしばりをしているか不安な方は、以下のようなセルフチェックを試してみてください。
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・朝起きたときの顎の状態 … 起床したとき顎がこわばって口が開けにくかったり、顎のエラあたりがジンジンする感じがしたり、
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・鏡で歯を見て、すり減りやヒビがないか確認する
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・口を開けたときにカクッと音がしないかチェック
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・パートナーに寝ているときの音を確認してもらう
また、スマートウォッチなどの睡眠モニターや、スマホアプリの録音機能を使って、寝ている間の音を記録する方法もあります。意外と「ギリッ」という音が録音されていることもあるようです。
もし歯ぎしりに気づいたら?
歯科医院での相談が第一歩です。マウスピース(ナイトガード)を使った治療が一般的で、睡眠中の歯への負担を減らすことができます。
また、ストレスが原因になっていることも多いため、リラックスする習慣や生活習慣の見直しも大切です。特に、寝る前のスマホやカフェイン摂取は避けるようにしましょう。
まとめ:自分の体の“サイン”に耳を傾けて
歯ぎしりは自分では気づきにくいものですが、体はちゃんとサインを出してくれています。朝の顎の違和感、歯のすり減り、首や肩のこりなど、小さな変化を見逃さないようにしたいですね。
もし少しでも気になることがあれば、まずは歯科医院で相談してみるのがおすすめです。早めの対処が、歯を守ることにつながります。
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