顎関節症の末期症状について
投稿日:2024年9月10日
カテゴリ:顎関節症
今までの記事で顎関節症について色々お話してきました。しかし、顎関節症を放置した場合どのようなことが起こるのかは触れることがありませんでした。なので今回は、顎関節症の症状を段階ごとに、とりわけ末期症状について深堀りしてお話したいと思います。
1. 初期症状
顎関節症の初期段階では、生活に大きく影響を与える症状は少ないです。場合によっては症状が消退していくこともあります。
- 顎の関節の痛みや不快感:口を開けたり閉じたりする際に、耳の前辺りに軽い痛みや不快感を感じることがあります。こういった症状は一時的であることが多く、受診すべきか迷うと思いますし、そのせいもあって放置されがちです。
- クリック音:顎を動かす際に、カクカクといった音(クリック音)が発生することがあります。これは関節の運動が円滑に行われていないことを示しています。
- 顎のこわばり:朝起きたときなどに、顎の筋肉がこわばって動かしにくく感じることがあります。
2. 中期症状
顎関節症が進行すると、症状が悪化し、以下のような状態になることがあります。
- 痛みの増加:初期と比べると顎関節そのものや関節周囲の筋肉も過緊張(必要以上に力をいれてしまうこと)を起こすことで痛みが増します。頻度や強度が高まり、場合によっては痛みは一日中続くことがあり、生活に支障をきたすこともあります。
- 開口制限:顎関節に存在する関節円板の位置がずれることによって関節の運動が妨げられ、口を完全に開けることが難しくなることがあります。開口制限が生じ、無理に開けようとすると痛みを伴うことがあります。
- 耳の痛みや耳鳴り:顎関節は耳の付近に存在するので、そこでのトラブルが起因として耳の奥に痛みを感じさせることがあり、ひどい場合は耳鳴りが生じることもあります。
3. 末期症状
顎関節症がさらに進行し、末期段階に達すると以下のような深刻な症状が現れます。
- 慢性的な激痛:顎関節だけでなく、顎全体、ひどいと顔全体にまで広がる激しい痛みが常態化します。この痛みは頭痛や首の動き、肩凝りなどと連動することもあります。
- 顎関節の変形:顎関節が変形し、正常な動きができなくなります。これにより、顎の運動が著しく制限されるので、筋肉の量も変化していきます。そういったことが原因で顔のバランスが崩れる場合があります。
- 咀嚼困難:食べ物を咀嚼するのが非常に困難になります。固い食べ物はもちろん、柔らかい食べ物でも痛みを伴うことがあります。また、咀嚼しやすい部位を酷使するので咀嚼筋の大きさに左右差が出たりします。
- 顎が開かなくなる:顎関節が完全にロックされてしまい、口を開けたり閉じたりすることができなくなる場合があります。時間の経過などで一時的に寛解することがあるようですが、そうであったとしても日常生活に重大な影響を与えます。
末期症状に至った場合、根本的な治療は困難であり、いずれにおいても専門的で長期的なアプローチが必要となります。
- 外科的治療:顎関節の手術が必要になる場合があります。例えば、関節円板切除術や関節受動術、関節洗浄術などが考えられます。
- 理学療法:硬直した筋肉をほぐし、関節の動きを改善します。これはリハビリテーションの一環として実施されます。
- 痛み管理:慢性的な痛みを緩和するために、鎮痛薬などの投薬やステロイド注射、神経ブロックが使用されることがあります。
- 咬合治療:噛み合わせを調整・誘導することで、顎関節への負担を軽減します。
こういった症状が見られたら、自己判断せずにまずは早めに医療機関で診察を受けましょう。適切かつ早期の診査診断と治療が顎関節症の進行を防ぎ、快適な生活を維持するための鍵です。思い当たることがお有りでしたら、当院で相談からいかがでしょうか?
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