ガムを噛みすぎると顎関節症になりますか?
投稿日:2024年12月22日
カテゴリ:顎関節症
ガムを噛む習慣は、集中力を高めたり口臭を予防したりする効果があるとかねてより言われています。一方で、ガムを頻繁に噛む機会が顎関節症の原因になるのではないかと心配する声もあります。今回は、ガムをよく噛む習慣と顎関節症発症の関連性について解説し、もし症状が現れた場合の対策や治療法についても詳しくご紹介します。
※この記事はガムを噛む習慣を批評することを目的とするものではありません。
ガムは顎関節症の原因になりえる?
まずはじめに、ガムを噛むことそのものが顎関節症を直接引き起こすわけではありません。
しかし、噛む頻度や力の強さ、噛み続ける時間が長い場合には、以下のようなメカニズムで顎関節に負担をかけてしまい、顎関節症を誘発する可能性があります。
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・顎を動かす筋肉の疲労
ガムを長時間噛み続けると、顎の筋肉が過剰に使われるため、疲労や緊張が蓄積します。特に、片方の歯だけで噛む癖がある場合には、筋肉のバランスが崩れて片側の負担が大きくなることがあります。 - ・不均衡な動作パターンとそれによる顎関節へのストレス
顎関節は、本来適度な力でバランスよく噛む動作をするように設計されています。しかしガムを噛む際に無意識に片側ばかりで噛んだり、過度な力で噛んだりしていると、顎関節の動作に偏りが生じてしまいます。それによって顎関節の痛みや違和感を引き起こす可能性があります。 -
・反復的な動作
ガムを噛むことは、顎関節や筋肉に同じ動きを繰り返させる行為です。この反復動作が蓄積すると、慢性的な炎症や負担が原因で顎関節症を引き起こすリスクが高まります。
ガムを噛む習慣による顎関節症を予防する方法
では、そういったメカニズムで生じうるトラブルを避けるためにはどういった方法が有効か例を挙げてみます。
- ・ガムを噛む時間を制限する
ガムを長時間噛むのではなく、適度な時間でやめる習慣をつけましょう。1回あたり10分から15分程度(=ガムの味が消える頃)に留めるのが良いとされています。回数を分けるとしても、1日あたり合計時間は1~2時間以内が良いと言われています。 -
・片側だけで噛むのを避ける
意識して左右均等に噛むよう心がけると、顎関節への偏った負担を防ぐことができます。 -
・柔らかいガムを選ぶ
硬いガムは噛む力を強く必要とするため、顎への負担が大きくなります。可能であれば柔らかめのガムを選びましょう。
このように予防方法は単純なものになります。それでもガムを噛む習慣が深く根付いている方の場合、これらを継続的に実践するのは難しいものになり得るでしょう。
ガムを噛む習慣が原因で顎関節症になってしまった場合
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・休息を取る(ガムを控える)
まずは当然ですが顎を休ませる必要がありますので、ガムを噛むことを控えましょう。食事の形態も柔らかいものに変更して負担を軽減します。 - ・歯科医院での診査診断と治療
顎関節症の診査診断や治療を行っている顎関節の専門知識を持つ歯科医を受診し、適切な指導を受けたり、治療を行います。例えば顎の負担を軽減するためにナイトガードというマウスピースを作製したり、顎の位置が定まらずに不安定になってしまった場合にTRPスプリントというマウスピースを装着したりします。また、痛みや炎症が強い場合には、まず消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの投薬治療から行うことがあります。
まとめ
ガムを噛むこと自体はリフレッシュや集中力向上に役立つ一方で、噛みすぎることで顎関節や筋肉に負担をかけ、顎関節症を引き起こすリスクがあります。ガムを噛む際には、適度な時間や頻度を守り、顎の負担を軽減する工夫をすることが重要です。もし顎関節症の症状が現れた場合には、早めに対策を取り、必要に応じて歯科医院を受診することで、症状の悪化を防ぐことができます。
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