歯ぎしり食いしばりと虫歯の関係について
投稿日:2024年4月30日
カテゴリ:歯ぎしり・食いしばり
はと歯ぎしり食いしばりが影響を及ぼすのは歯や顎の関節、顎を動かす筋肉などから始まり、目や肩、ひどい場合だと腕のしびれなどにまで発展してしまいます。これらの関連性については徐々に認知されつつあるように感じますが、その一方で意外と知られていないむし歯との関係についてお話したいと思います。
【歯ぎしり食いしばりによる歯への影響とは】
歯ぎしり食いしばりと歯への影響についてあらためて確認してみましょう。それらは通常、睡眠中に起こることが多く、無意識のうちに行われることがほとんどです。しかし、一部の人は昼間にも知らず知らずのうちに行うことがあります。一般的にストレスや不安の増加、睡眠障害などの要因によって引き起こされることが知られています。歯ぎしりは、顎の筋肉に過度の圧力をかけることで、歯や顎関節に損傷を与える可能性があります。また、歯ぎしりが慢性化すると、歯の摩耗(咬耗といいます)や微小破折が進み、歯の構造に重大な問題を引き起こすことがあります。
【歯ぎしり食いしばりとむし歯の関係】
歯ぎしり食いしばりとむし歯の関連性は、かねてより指摘されていましたが広く認知されるまでは至ってはいないのが現実です。これらの関係性は歯の表面にかかる圧力と歯と歯同士の軋みによって説明されます。歯ぎしり食いしばりによって生じる強い圧力は、上下の歯の互いの歯のエナメル質の表面を削ってしまう咬耗を生じさせるだけでなく、隣り合う歯同士を強くこすらせることによって細かいヒビ(マイクロクラック)も入れてしまいます。そのヒビの中に唾液ごとむし歯の原因菌や酸が侵入してしまい、そこから徐々に歯と歯の接する面がむし歯になっていってしまいます。一般的に「隣接面う蝕」と呼ばれるむし歯ですが、歯ブラシを言われたとおりしっかりやっているのになぜかこの歯と歯の隣り合う面ばかりむし歯になってしまう…と悩まれてる場合、これが原因の可能性が高いです。
また、歯ぎしり食いしばりによって歯の表面が不均一に粗造化すると、食べカスが歯の隙間や粗造な面に残りやすくなり、細菌の増殖を促進します。むし歯の発生と歯周病の発症や進行のリスクが高まりやすくなる可能性があります。
【予防と対策】
歯ぎしり食いしばりによるむし歯を予防するためには、どのような対策が有効なのでしょうか。
まず第一に、歯ぎしり食いしばりそのものをコントロール・軽減する方法です。たとえば、就寝時に装着するナイトガードとよばれるマウスピースを使用することで、歯の摩耗を防ぎ、歯ぎしり食いしばりの影響によるマイクロクラックのリスクを軽減することができます。
また、歯ぎしり食いしばりで酷使される筋肉に対してアプローチをする方法があります。ボツリヌストキシン注射が代表的です。筋弛緩作用があるボツリヌストキシンを医療用に調整したものを使用します。それにより、顎や歯に過剰な力を与えていた筋肉が弱まり、負担が軽減されることで歯の過度な咬耗をコントロールしたり、マイクロクラックのリスクを軽減させることができます。
もちろん、前提条件として定期的な歯科検診と適切な口腔衛生の維持は言うまでもなく重要です。定期的な検診によって、歯ぎしりやむし歯の早期発見と治療が可能となります。口腔衛生の習慣を実践することで、歯の健康を維持し、歯ぎしり食いしばりによって生じうるむし歯のリスクを最小限に抑えることができます。
歯ぎしり食いしばりとむし歯の発生は、想像以上に密接に関連しており、歯の健康に影響を与える重要な要因です。自身の口腔内の状況を知り、適切な予防と対策を取ることでこれらの問題を最小限に抑えることができます。定期的な歯科検診や口腔衛生の維持は、歯ぎしりとむし歯のリスクを軽減するために不可欠です。
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