顎関節症で痛む場所について
投稿日:2024年1月19日
カテゴリ:顎関節症
前回は顎関節症の初期症状についてお話しました。その中で顎関節症で痛みを伴うことにも触れました。今回はその顎関節症由来で痛みが出る部位やそれぞれの原因と、さらにそれらの対処法についておおまかにお話していきたいと思います。
まず、顎関節症で生じる痛みとして顎の筋肉の痛みと骨(関節)の痛みがあり、当然それぞれで痛む場所が変わります。それぞれについて説明していきます。
①顎の筋肉の痛み … 傷や怪我での痛みではなく筋肉痛に似たような症状になります。顎を動かす筋肉でよく症状が出る筋肉は咬筋と呼ばれる頬骨下部から下顎のエラにかけて存在する大きな筋肉です。咬筋は閉口筋という口を閉じるときに使う筋肉に分類されます。歯ぎしり食いしばりで酷使される筋肉でもある咬筋は、筋肉である以上使えば使うほど鍛えられていきますが、その一方でそれに伴う筋肉痛のような症状も頻発することになります。頬のあたりやエラの周囲をマッサージしたりほぐしたりする頻度が多かったりすると、咬筋を必要以上に使っている状態になっているかもしれないサインです。
②骨(関節)の痛み … 下顎の関節は、ちょうど耳の前辺りに存在しています。骨や関節にはそれらの間に必ず緩衝材となる関節円板とよばれる柔らかい組織(コラーゲン由来の軟骨のようなもの)があり、それによって運動が滑らかに行われるようになっています。しかし、そういった緩衝する組織が過度に掛かる力によって損耗していたり本来の位置から逸脱していたりすると、直接骨と骨が接触してしまいます。結果として、骨が擦れて耳の前あたりの痛みに繋がったり、ひどい場合だと削れて関節の形が変形していったりします。
では、そういったそれぞれの痛みに対しての対処法にはどのようなものがあるか、簡単に説明していきます。
①顎の筋肉の痛みに対して … ポピュラーな方法は先述したマッサージがあります。特に血行が良い状態(入浴中など)に行うと効果的とされています。他にも、ボツリヌストキシン治療を行うことで顎の筋肉に過剰な力が加わらないようにすることで症状を緩和させることも出来ます。
②骨(関節)の痛みに対して … ナイトガードと呼ばれるプラスチック製のマウスピースを夜間就寝時に装着することで、顎の骨と関節が強く接触しないようにする方法があります。先述したボツリヌストキシン治療も間接的に有効であることが多いです。
基本的に、顎の筋肉と痛みと骨(関節)の痛みは併発していることがほとんどですので、対処法を単一で試すよりも複数で行うほうが効果的です。しかしこういったものは、主観的な自己診断ではなく客観的な診察に基づく診断が前提となります。自分の場合、この症状はどういったものなのか不明瞭な場合よりも、現状をはっきりさせることで効果的な対処法・治療法になります。
上記の対処法はあくまで痛みに対してアプローチするものなので、症状が消退して楽になることは稀です。例えるならば虫歯の痛みを鎮痛剤で凌ぐようなものなので、しっかりと治療したいのであれば当然のことながら原因にアプローチできる根本的な治療方法を実践する必要があります。
顎の筋肉や骨(関節)が痛むのならば、何がそうさせているのか、さらにそうなった経緯などを芋づる式に辿っていくと根本の原因がわかります。さらに顎の成長発育を取り巻く環境や遺伝の傾向、過去の虫歯治療などの既往の有無などによっても顎の成長は左右されていきます。
そういったことを当院では咬合診断を行うことで明らかにしています。現状を理解するためにも顎関節症にまつわる痛みに悩まされているのであれば、まずは当院で相談を受けてみてはいかがでしょうか。
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