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顎関節症と親知らずの関係について

投稿日:2024年8月19日

カテゴリ:歯ぎしり・食いしばり 顎関節症

親知らず(第三大臼歯、智歯)は、前から8番目の歯のことをいいます。

親知らずは顎関節症の直接的な原因となることはあまりありませんが、間接的に一因となることは十分ありえます。親知らずが顎関節症の発症にどのように影響するのか、そのメカニズムと治療や対策について詳しく説明したいと思います。

親知らずが原因で顎関節症の発症に至るメカニズム

  1. 親知らずの位置異常によるもの:

    • 親知らずが顎の骨の中に埋もれている(埋伏歯): 親知らずが顎の骨に埋まったままだと、手前の歯の生える位置がずれたり生えてくる時期に影響を与えます。それにより歯並びや噛み合わせにも影響を及ぼすとされています。
    • 親知らずが傾斜している(半埋伏歯): 親知らずが斜めや水平に生えてくると、隣の歯を押し出し、全体的な歯並びを乱したりするだけでなく、顎の運動するときに当たったりして本来の顎の運動経路を妨げたりします。これにより、噛み合わせが悪くなり、顎関節や歯に負荷がかかります。 
    • 不正咬合: 親知らずの位置が影響し歯並びの乱れることにより、噛み合わせが悪くなります。顎の不安定さは顎の筋肉や関節に過剰な負荷を与え、顎関節症を引き起こすことがあります。長期的にその状況が続くと顎の位置が変わってしまうこともあります。
  2. 親知らずの周囲の炎症(智歯周囲炎)と感染症によるもの:

    • 智歯周囲炎: 親知らず周辺の歯茎が炎症を起こすこと(智歯周囲炎)があり、この炎症が顎の筋肉や関節に影響を与えることがありますが、よほど重度の炎症にならない限り、生じることは稀です。
    • 感染症の拡大: これも稀ですが、親知らず周辺の細菌感染が広がると、歯ぐきだけでなくその下に存在する顎の骨を含む周囲組織にまで炎症が波及・浸潤し、激しい痛みや腫れを引き起こします。その際に貯留した膿や血液が顎の筋肉の運動を阻害したりして顎関節症の症状を悪化させることがあります。

親知らずが原因による顎関節症の治療と対策

基本的に親知らずが顎関節症の間接的な原因であったり、顎関節治療の障害となりえると判断された場合は抜歯になります。まっすぐ正常な位置に生えず、中途半端な生え方をしていたり噛み合うことがない歯は親知らずは口腔衛生の観点からも抜歯が選択されることが多いです。

  1. 親知らずの抜歯:

    • 抜歯の検討: 御存知の通り、親知らずの抜歯は心理的な負担が多少なりとも伴います。レントゲン撮影やCT撮影などによって比較的容易に親知らずが抜歯できると判断された場合、紹介をすることなく一般歯科医院での抜歯をすることがあります。しかし、比較的容易に抜歯が出来るケースであっても専門機関での処置を希望されるのであれば紹介することは可能です。このように抜歯をどのように実施するのかをしっかりと担当医と検討することが第一歩です。
    • 手術の計画: 一般歯科医院・専門機関(大規模病院や大学病院など)いずれにおいても、抜歯を行う場合は歯科医や口腔外科医が詳細な手術計画を立てます。親知らずの位置によっては術後の一時的な麻痺のリスクやアプローチする方法が限られたりしますので、計画の内容の説明と同意を得てはじめて抜歯手術を行うことになります。

結論

親知らずは、その位置や成長の仕方によって、顎関節症の一因となることがあります。基本的に親知らずの存在そのものが顎の運動を制限したり干渉を引き起こしたりすることが多いので、抜歯処置を第一に考えることがほとんどです。稀ではありますが、親知らず由来の炎症などが原因で顎関節症に間接的に関与しているとした場合は、抗生剤の投薬によって腫れや痛みの消退を試みることがありますが、この場合ほとんど再発します。なので結局は親知らずは抜歯したほうが根本的な解決になるということになります。いうまでもありませんが、親知らずが原因で顎関節症が疑われる場合、適切な診断と治療が必要です。親知らずがらみの症状の解決は抜歯が第一ですが、もちろん抜歯以外の選択肢を選ぶ方もいらっしゃいます。歯科医や口腔外科医と連携・相談を重ね、適切な治療プランを立てることで、納得できる顎関節症の治療・予防が期待できます。

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