親知らずの抜歯が原因で顎関節症になりますか?
投稿日:2024年12月2日
カテゴリ:顎関節症
親知らずの抜歯が必要な状況は多くの方にとって経験があるかもしれません。実際に親知らずを抜いた後に痛みや違和感が生じたり、口が開きにくくなったりするなど、顎関節症のような症状が発生することがあるようです。今回は、親知らずの抜歯によって顎関節症が発症する可能性やそのメカニズムについて解説したいと思います。
親知らずと顎関節症の関係
親知らずの正式名称は第三大臼歯といい、智歯ということもあります。歯並びの一番奥に位置し、ほとんどの場合20歳前後に生えてきます。しかし、大抵の場合はスペースが十分ではなく、親知らずが正常に生えるのが難しい場合が多いです。その結果、親知らずが一部しか生えてこずに手前の歯にぶつかって中途半端に埋まって生えてしまうことがあります。これが抜歯を必要とする大きな原因です。
親知らずの抜歯は他の歯よりも難しく、手術が必要なケースも多いため、顎周辺の筋肉や関節に負担がかかることが少なくありません。この負担や無理な力が、顎関節症の引き金になる場合があります。
親知らずの抜歯後に顎関節症が発症するメカニズム
親知らずの抜歯後に顎関節症が発症する原因はいくつかありますが、大抵の場合一時的に生じて徐々に消退していく場合がほとんどです。
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筋肉の緊張と炎症
抜歯の際に顎を長時間大きく開けていることに起因するものです。顎周辺の筋肉が緊張してしまったり、大開口による関節への負担などの影響で関節雑音などが生じやすくなります。 -
下顎への負荷
抜歯の過程で下顎骨に負担をかけることが多いので、それによって関節部分への負担が増して、それが原因でズキズキと痛むことがあります。この状態が不自然な顎の運動を招き、顎関節症の初期症状を引き起こす場合があります。また、顎への負担の影響で顎の位置がずれたり、炎症が起きたりすることで同様のことが生じることもあります。
抜歯後の顎関節症を防ぐためのポイント
親知らずの抜歯後に顎関節症を防ぐためには、いくつかの予防策が考えられます。
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無理な開口を避ける
言うまでもなく親知らずは歯の列の一番奥に存在する以上、比較的大きな開口を強いることになります。なので手術中に顎が疲れてきたと感じたら、少しでも休憩を挟むように頼むと良いでしょう。 -
術後のケアを徹底する
抜歯後は、処方された鎮痛剤や抗生物質を指示通りにしっかりと服用し、顎に無理な力をかけないよう安静に努めることが重要です。また、術後数日の食事は食べやすいものを心がけると良いでしょう。
抜歯後に顎関節症が発症した場合の対処法
もし親知らず抜歯後に顎関節症の症状が出てしまった場合の対処法をあげてみます。
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顎の安静
顎関節に痛みや違和感がある場合、まず第一に極力動かさないで安静に努めることが重要です。なお、痛みの症状を抑えるのに冷罨法が有効ですが、氷や保冷剤のようなもので行うと治癒を阻害することがあるので、濡れタオルほどのもので行うと良いでしょう。 -
痛み止め
処方された痛み止めを適切に使用することで、痛みや不快感を軽減できます。市販の鎮痛剤も使用できますが、長期的に使用する場合は医師に相談のうえ処方してもらうことをお勧めします。 -
マウスピースの使用
顎関節症が長期化する場合や痛みが強い場合には、歯科医によってマウスピースが処方されることがあります。こういったマウスピースは顎関節にかかる負担を和らげ、痛みの緩和をサポートする役割を果たします。なお、こういったマウスピースは保険内で作製されることが多いです。
最後に
親知らずの抜歯は、多くの方が経験する可能性がある歯科治療です。その処置で顎関節症が発生する可能性は基本的に低いですが、ありえないわけではありません。そのため、顎関節症が発症するリスクを減らすには、処置をする歯科医との事前相談をしたり、術後の経過を指示通りにみることが非常に重要です。もし抜歯後に顎関節症のような症状が現れた場合でも、早めに適切な対処を行えば、症状が悪化するのを防ぐことができます。
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