歯ぎしりの音がうるさい時の対処法
投稿日:2023年3月13日
カテゴリ:歯ぎしり・食いしばり
今回は歯ぎしり食いしばりが原因で生じる音がうるさい時はどうすべきか対処法について、です。当然のことながら歯ぎしりの音は歯と歯が当たったり、擦れたりすることで生じます。となればそういったことが生じないようにすれば良いわけなので、その方法を特徴や短所長所を含めて説明したいと思います。
1.保険診療で行えるナイトガード … 一般的に広く知られている方法としてナイトガードと呼ばれるマウスピースを就寝中に装着していただく方法があります。保険内で作成のできるマウスピースですので比較的手軽に行うことができます。大抵の場合、厚さ1~2mmほどのプラスチック製のマウスピースを上顎あるいは下顎の片方に装着するもので、それにより歯と歯が当たったり擦れたりすることがなくなるので歯ぎしりの音がなくなります。また、マウスピースを装着することで噛み合わせがその厚み分だけ上がります。それによって上顎と下顎の歯の不要な干渉を取り除くことができます。結果として、歯ぎしりによって歯が揺すられることがなくなります。さらに顎や筋肉に過負荷がかからないようになるので起床時の顎の疲労感が軽減する可能性もあります。なお、顎の症状が著しいようであれば、プラスチック製のマウスピースで症状が悪化するときがあるのでシリコンゴム製のものにする場合もあります。いずれも保険で可能ですし、料金に変動はありません。ただしこの方法は対症療法的であり、根本的な原因を取り除くことはできないうえ、自覚症状の完全な除去もできない可能性もあります。また、長期的な使用により顎の位置がずれてしまう可能性も示唆されています。
2.歯ぎしりで使う筋肉にアプローチするボツリヌストキシン注射 … 美容や制汗として使用されているボツリヌストキシン治療を噛む筋に応用します。それにより筋肉の量がもとに戻り、歯と歯同士が当たったり擦れたりしても問題のない範囲の力に筋力をコントロールすることができるようになります。結果として、歯ぎしりの音を軽減させることができます。場合によっては歯ぎしりの音を完全になくすことはできません。また、平均2~3ヶ月前後で筋力が戻ってきてしまいますので、その頃を目処に3~4回にわたって追加でボツリヌストキシン注射を行う必要があります。
3.根本的に歯ぎしりをコントロールする咬合治療 … そもそもの歯ぎしりが生じるメカニズムに対してアプローチして、歯や顎を破壊する歯ぎしり食いしばりが生じにくいように顎の位置や上顎や下顎の噛み合わせを整えたりします。具体的に用いられる方法はゴムやワイヤーを用いた矯正だったり、バイトアップという奥歯の頭にプラスチック製の板をくっつけて噛み合わせを持ち上げたりと多岐にわたります。どの方法を選択して治療を進めるかは患者さん一人ひとりの顎の状況で千差万別ですので、顎の状態をしっかり診断分析して治療を行う必要があります。治療期間も半年から3年、場合によっては5年ほどかかる場合もあります。
最近はお子さんにもみられる大きな音の歯ぎしりですが、しっかりと顎の成長を正しい方向に誘導してあげることでそういった悪い歯ぎしりを抑制することができます。従来の床装置を用いた拡大のみではお子さんの顎の成長方向は前後左右と二次元的にしか誘導できないので、当院ではRAMPA矯正を実施しています。これは先程の矯正のメソッドに加えて、三次元的つまり上下にも顎の成長方向を誘導することができます。さらに口腔領域のみでなく、頭蓋骨全体にまで正しい成長を促すことが可能となっています。呼吸環境(気道)の改善によって口呼吸から鼻呼吸へ。さらに呼吸環境が整うと姿勢の改善につながるだけでなく、様々な恩恵を得ることができます。悪い歯ぎしりを根本的に排除するだけでなく、成長期にしか得られない理想的な骨格や呼吸環境をRAMPA矯正で整えてあげることはとても重要なことだと考えています。
一つでも当てはまって、気になっているという方はまずは相談からいかがでしょうか。
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