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歯ぎしり食いしばりによって歯にかかる力について

投稿日:2024年7月3日

カテゴリ:歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしり(ブラキシズム)や食いしばり(クレンチング)は、無意識のうちに行われる習慣であり、これらの行為によって歯に過剰な力がかかることで、様々な症状やトラブルを引き起こす可能性があります。ここでは、歯にかかる力の影響とそれによって生じる症状やトラブルについて詳しく説明したいと思います。

歯にかかる力

それぞれの歯によって理想的な力のかかり方は違いますが、どの歯であっても過剰な負荷であったり持続的な負荷がかかることは好ましくありません。それらについて説明します。

過剰な負荷: 通常は食事をする際や話をする際には、歯に適度な圧力がかかるようになっています。しかし、歯ぎしりや食いしばりによって歯にかかる圧力は、通常の数倍になることがあります。特に夜間の歯ぎしりでは、上下の歯が強く擦れ合いその力はかなりのものになります。

持続的な負荷: 食いしばりの場合、日中の無意識のうちに歯を強く噛み締めることがあり、この持続的な力が歯や顎に悪影響を及ぼします。短時間であれば問題ないこともありますが、長時間にわたって力がかかり続けることで、歯や顎の組織に負担がかかります。

歯ぎしり食いしばりによって生じる症状やトラブル

1. 歯の摩耗: 歯の表面が摩耗し、削り取られてしまいます。エナメル質が失われると、象牙質が露出し二次的症状が現れ、歯が敏感になったり、痛みが出ることがあります。

2. 歯のひび割れや破損: 過剰な圧力がかかることで、歯にひびが入ったり、最悪の場合には破損してしまうことがあります。これにより、歯の修復が必要となることが多いです。また、詰め物や被せ物が装着されている場合、それらにも同様のことが生じる可能性が高いです。さらに、ひびや破損した面にむし歯の原因菌が入り込み、そこからむし歯になることがありえます。

3. 顎関節症(TMJ): 顎の関節や筋肉に過度な負担がかかることで、顎関節症を引き起こすことがあります。これは、顎の痛みや開口障害、関節雑音などの症状を伴います。※詳しくはこちらに詳しくまとめています。

4. 筋肉の痛み: 歯ぎしりや食いしばりにより、顎周りの筋肉が緊張し、痛みを感じることがあります。特に、咬筋や側頭筋が影響を受けやすく、頭痛や首から肩のこりに発展することもあります。

5. 歯茎の退縮: 過剰な力が歯にかかることで、歯を支えている骨(歯槽骨)が吸収されてしまいます。すると骨の吸収に合わせて歯茎が退縮し、歯の根元が露出することがあります。これにより、歯が長く見え(審美障害)たり、清掃性の低下や知覚過敏や虫歯、歯周病のリスクが高まります。

6. 歯の動揺: 長期間にわたる食いしばりや歯ぎしりによって、先述のように歯を支えている骨が吸収されていった結果、最終的に歯が少しずつ揺れたりします。歯の位置がずれ、噛み合わせの不調やさらなる歯のダメージが発生することがあります。

7. 歯の感覚異常: 持続的な圧力により歯の神経が過敏になり、虫歯でもないのに冷たいものや熱いものに対して痛みを感じたり、咀嚼時の歯の痛みを感じることがあります(知覚過敏)。

対処法

1. ストレス管理: 歯ぎしりや食いしばりの多くはストレスに起因するため、ストレスを適切に管理することが重要です。リラクゼーション法や趣味、運動などを取り入れることで、自身を取り巻く環境からのストレスを軽減することができます。ただし、ストレス由来の歯ぎしり食いしばりは完全になくすことはできません。あくまで最小限にする、という考え方になります。

2. ナイトガードの使用: 歯科医が作成するナイトガード(マウスピース)は、その名の通り就寝中に使用するものです。睡眠中の歯ぎしりから歯を保護する効果があり、歯の摩耗や破損を防ぐことができます。

3. 生活習慣や栄養状態の見直し: カフェインやアルコールの摂取により交感神経が優位な状態であると歯ぎしり食いしばりが増加すると言われていますので、それらをコントロールすることが重要です。また、規則正しい生活習慣と栄養状態を維持することで身体内のストレスをコントロールできるので、歯ぎしりや食いしばりの予防に役立ちます。

4. 定期的な歯科検診: 定期的に歯科の診察を受けたり相談にかかることで、早期に問題を発見し、適切な対処を行うことができます。歯や歯ぐきなどに変な違和感や症状が続いているようであれば歯の状態をチェックし、必要に応じて治療を受けることが重要です。

5. 専門的な治療: 症状が重い場合であったり、根本的に歯ぎしり食いしばりの原因にアプローチしたようであれば、専門的な診査診断に基づく治療が必要です。例えば、ボツリヌストキシン注射による筋肉の過緊張を緩和したり、矯正による顎の誘導や咬み合わせの調整などが行われることがあります。

結論

歯ぎしりや食いしばりによって歯にかかる過剰な力は、さまざまな症状やトラブルを引き起こす可能性があります。歯の摩耗や破損、顎関節症、筋肉の痛みなど、多岐にわたる影響が考えられます。これらの問題を未然に防ぐためには、ストレス管理や適切な対処法を取り入れることが重要です。また、定期的な歯科検診を受けることで、早期に問題を発見し、適切な治療を行うことが可能です。歯ぎしりや食いしばりに悩んでいる場合は、専門家に相談し、適切な対処法を見つけることが健康な歯と顎を維持するために必要です。​

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