歯ぎしりと知覚過敏の関係について|顎関節症・咬み合わせ専門歯科医院HP

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歯ぎしりと知覚過敏の関係について

投稿日:2023年2月27日

カテゴリ:歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりと知覚過敏の関連性はかねてより指摘されています。そもそも、知覚過敏は通常であれば問題のないレベルの刺激に対して「痛い」と反応してしてしまうことです。その知覚過敏の原因として様々なものが挙げられていますが、今回は歯ぎしりによって生じる知覚過敏の関係をメカニズムの観点から説明しようと思います。

 

まずはじめに歯ぎしりが歯に対して知覚過敏をもたらす直接的な原因ですが、3つあります。

1. 歯ぎしりによって歯茎がさがってしまい、しみやすい歯の根が露出してしまう。

歯ぎしりの力で歯が揺さぶられると、歯が植わっている周囲の骨が溶けてしまいます。それに伴って歯茎も下がり(歯肉退縮といいます)、熱刺激(冷たい水や熱いもの)に対して敏感な歯の根が露出します。結果、虫歯でもないのにしみる…というような症状があらわれます。

 

2.歯ぎしりによって歯と歯茎の際が削れ(楔状欠損といいます)、その部分がしみてしまう。

実は歯はかすかに柔軟性があり、しなります。そんな歯が歯ぎしりの力で歯が揺さぶられると、ひずみの力が歯と歯茎の際の部位に集中します。この状態が長期にわたって続くと、徐々にその部位の歯の表面が剥がれ落ちるように削れていきます。これを楔状欠損といい、楔を打ち込まれたかのように歯と歯茎の際が削れ落ちることからそう呼ばれます。その部位は歯の最表層にあるエナメル質はなく、刺激に敏感な象牙質と呼ばれる層が露出しています。その結果、本来であればしみることのないような温度の飲料や食事でしみるようになったりします。

 

3.歯ぎしりによる過負荷が歯の神経そのものを過敏にしてしまう。

歯は3層構造になっていて、最表層から順にエナメル質、象牙質、歯髄とよばれます。エナメル質は体内で最も硬い組織で、外来刺激にも耐えられる層です。象牙質はカルシウム成分が中心で硬いイメージがありますが、有機成分(コラーゲン)もある程度含まれるので柔軟性があります。顕微鏡で見るとストローをたくさん束ねたように孔があいていて、その中に歯髄からの神経が通っていたりします。最も奥の歯髄という層が歯の知覚をつかさどる神経の存在する部位ということになります。そして先程述べたように歯はかすかにしなることにより、その歯髄がそのストレスを受けるということになります。結果、歯髄内の血流量が増して、神経が圧迫され痛みを感じやすくなります。

 

つぎに、それぞれの対策方法を説明しようと思います。

1. の場合 … 原則、下がった歯茎や骨は100%もとにはもどりません。しかし前歯の場合は見た目に影響を及ぼしますので外科的に歯肉移植を行ったりしますが、歯ぎしりが解消されないことには再発する可能性が高いです。しみる症状に対しては知覚過敏用の塗り薬を使用したりします。

 

2.の場合 … かけてしまったところに詰め物をすることが一般的ですが、やはり歯ぎしりの力によってひずむことはかわりませんので、詰め物が取れる可能性があります。なお、詰め物の脱落を繰り返すようであれば詰め物をする部位を削り、詰め物が外れにくいように、適した形に整えてから詰める必要があります。

 

3.の場合 … 1.や 2.の場合でも使用することができますが、ナイトガードと呼ばれる歯ぎしりによって歯や顎にかかる過度な負担を軽減するマウスピースがあります。しかしこれは歯ぎしりの頻度や力を軽減するものではないので注意が必要です。また、長期にわたって使用すると顎の位置がずれたりすることがあります。

 

いずれにおいても、最も有効なのは知覚過敏の成因のひとつである歯ぎしりにアプローチすることです。知覚過敏は歯が「痛い」としか知覚できない故に生じる問題と言えるでしょう。今回取り上げた知覚過敏以外にも歯ぎしりによって引き起こされる問題はまだまだあります。それらもまとめて解決できるいとぐちになる可能性がありますので、まずは当院での相談からいかがでしょうか。

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