顎関節症と歯並びって関係あるの?
投稿日:2026年5月22日
カテゴリ:歯ぎしり・食いしばり 顎関節症
「顎が痛い」「口を開けると音が鳴る」「口が開きにくい」などの症状が現れる顎関節症。
日本では非常に多くの方が悩んでいる疾患のひとつですが、その成因としてよく挙げられるのが「歯並び」と「噛み合わせ」の関係性です。
実際に、歯並びの乱れが顎の運動の妨げになったり、顎関節に負担をかけるケースはあります。しかし一方で、歯並びが悪い人すべてが顎関節症になるわけでもないですし、むしろ歯並びが整っていても発症する人もいます。
そのため現在では、顎関節症は「歯並びだけで起こる病気」ではなく、さまざまな要因が重なって発症すると考えられています。
以前から述べている顎関節症と、歯並びの関係について詳しく解説しながら、どのような場合に注意が必要なのか、改善のために大切なポイントについてお話しようと思います。
歯並びが顎関節症に影響するメカニズムとは?
歯並びと顎関節症の関係について、まずそのメカニズムについて触れたいと思います。
1. バランスが均一でないため
歯並びが乱れていると、上下の歯が均等に接触しにくくなります。すると一部の歯だけに強い負担がかかり、噛む力のバランスが左右で偏ってきます。
この状態が続くと、顎関節や顎を動かす筋肉の運動に左右差が生じ、負荷が多いほうに無理な力が加わることになります。結果として顎関節症のリスクが高まることになります。
特に注意が必要なのは以下のような状態です。
・ 開咬(前歯が噛み合わない)
・ 叢生(ガタガタの歯並び)
・ 左右差が大きい噛み合わせ
こうした状態では、上下の歯の必要以上の干渉が増え、顎の動きが不自然になりやすく、筋肉の緊張も起こりやすくなるので、顎関節症のリスクを高めることになります。
2. 無意識に顎をずらして噛むようになる
人は常に無意識的に「噛みやすい位置」を探して顎を動かしています。しかしそれが本来の理想とされる顎関節の位置からずれた状態で噛む環境だった場合、顎関節に負担が蓄積していくことになります。
特に片側だけで噛むクセがある人は、左右の筋肉のバランスが崩れやすく、顎関節症の症状が悪化しやすい傾向があります。
3. 歯ぎしり食いしばりが強くなることがある
噛み合わせが不安定だと、下顎の位置を定めるために身体が無意識に上下の歯を接触させることがあります。結果として歯ぎしり食いしばりが慢性化し、顎関節症へつながっていくケースがあります。
もともとストレスや睡眠の質とも関係する歯ぎしり食いしばりですが、噛み合わせの不安定さが加わることで顎への負担がさらに増加します。結果として、顎関節への圧迫と関節円板への負担、咀嚼筋の疲労・炎症などが起こりやすくなります。
「歯並びだけ」が原因ではない
以前は「顎関節症=噛み合わせが悪いから起こる」と考えられていた時代もありました。しかし、現在では、顎関節症は多因子疾患と考えられています。
つまり、呼吸環境、顎の成長発育や上下の顎の位置関係、精神・身体的ストレス、歯ぎしり食いしばり、姿勢不良、睡眠不足・質の悪い睡眠など、さまざまな要因が複雑に関与して発症に至っていると考えるようになっているわけです。そのため、歯並びだけを整えれば100%ちゃんと治るということではないと考える必要があるのです。
逆に歯並びが多少悪くても、他の要因が少なかったり、筋肉や関節への負担が少なければ症状が出ない人もいるといえます。
矯正治療(歯並び矯正)で顎関節症は改善する?
結論を言えば、歯並びや噛み合わせを改善すれば顎関節症の症状が大なり小なり改善するケースはある、といえます。
注意しなければならないのは、矯正治療をすれば顎関節症が必ず快方に向かうというわけではないという点です。顎関節症の主要原因が歯並びよりも根幹にある顎の骨の構造や上下顎の相互関係である場合、歯並び矯正だけでは十分な改善が得られないどころか悪化することもあります。
そのため、顎関節症の症状がある場合は顎関節の状態をちゃんと診査診断し、それに基づいて慎重に矯正計画を立てることが重要です。しかし、顎関節症が発症している際の矯正治療は禁忌であるという考えもあるので、それを踏まえて治療の選択をするようにしましょう。
顎関節症を悪化させないためには?
食いしばりを減らす
日中、無意識に歯を接触させ続けている人は少なくありません。本来、上下の歯はリラックス時には接触していないのが正常です。「気づいたら歯を離す」ことを意識するだけでも、顎への負担軽減につながります。
姿勢を整える
長時間にわたる不自然な姿勢の保持は、顎周囲の筋肉緊張にもつながっています。特にスマートフォンやデスクワーク中心の生活ではそういった状況が起こりやすいので注意が必要です。
片側噛みを避ける
機能的に問題がない限りは、左右均等に噛む習慣を意識するようにしましょう。本来であれば意識することなく左右を使って噛むのですが、片側噛みになっている所見を指摘された場合はまずは意識付けからはじめることで、顎の筋肉バランスを整えやすくなります。
まとめ
顎関節症の発生と歯並びには少なからず関係があります。歯並び・噛み合わせの乱れによって顎関節や筋肉に負担がかかり、顎関節症の発症につながることは少なくありませんし、歯並びが良好に見えても顎の位置や習慣、習癖などの関与もあるので、全身のバランスや生活習慣まで包括的にみていく必要があると言えます。
顎の違和感や痛みが続く場合は、早めに歯科医院で相談し、自分の症状の原因を正しく把握することが改善への第一歩となります。
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