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顎関節症の治療に要する期間は?

投稿日:2025年2月3日

カテゴリ:顎関節症

顎関節症は、顎の関節や筋肉に痛みや不快感を引き起こす疾患で、病態は進行度や個人によって様々です。そういった病状にあわせて選択される治療方法によって治療期間が異なってきます。今回はそういった顎関節症の治療方法とそれぞれのおおまかな治療期間とその特徴について詳しく解説していきたいと思います。

 

治療方法ごとの治療期間

1. 生活習慣指導

初期の顎関節症に対して最も初期に行われます。生活習慣の見直しやセルフケアを中心とし、日常生活において顎の安静を保つための指導を行うようにします。具体的には、硬い食べ物の摂取を控える、外的ストレス管理・ケア、姿勢の改善などが含まれます。

治療期間:指導を開始し、それにより症状の変化などの経過を追う必要があるので、数週間程度になることが多いです。しかし顎の症状の消退・軽減には数週間から数ヶ月を要することが多いです。この方法は比較的顎関節症の初期症状を呈する場合に適用されることが多く、大抵の場合は1年以内に症状が改善するとされています。


2. スプリント療法(マウスピース療法)

口腔内に装着するマウスピース(スプリント)を用いて、顎関節や咬筋への負担を軽減します。目的や用途、顎の咬合状況にあわせて設計されたマウスピースを上顎もしくは下顎片方、場合によっては上下両方に装着します。これにより、上下の顎の噛む位置や顎の位置といった噛み合わせの調整を行い、症状の改善を図ります。

治療期間:問診などの検査・マウスピースのための型取り~完成~お渡しまで1,2週間ほど、さらにお渡ししてマウスピースを使用して半年から1年ほどの装着が推奨されます。その間に定期的に受診いただき経過を追うようにします。ただし、病状の進行程度や症状の程度、使用頻度などで個人差が生じますので、治療期間の変動幅は大きいです。


3. 薬物療法

急激な痛みや炎症が原因で顎関節症の治療方法が適用できない場合、そういった治療法を適用できるようにするために激しい症状の緩和・消退目的として、第一選択的に鎮痛薬や抗炎症薬などを処方します。これらの薬剤は、症状の一時的な緩和を目的としているので、薬物療法のみが選択されることはほぼなく、大抵の場合は他の治療法と併用される傾向にあります。

治療期間:薬物療法の期間は症状の強さによりますが、数日から数週間程度が一般的です。鎮痛剤や抗炎症薬の長期的な服用は副作用のリスクがあるだけでなく対症療法にすぎず良好な治療経過を得にくいため、原則避けます。


4. 理学療法

顎周囲の筋肉や顎関節の運動機能回復を目的とした運動療法やマッサージ、温熱療法などが行われます。これにより顎関節症によって生じた筋肉の緊張を和らげたり、顎関節の本来の可動域を広げます。

治療期間:数週間に1回の頻度でコンサル・経過の聴取を行い、それを数週間から数ヶ月にわたり継続することが一般的です。症状の変化をみて期間は調整されます。


5. 外科的療法

保存的な治療法で効果が見られないほどの重度の顎関節症の場合、顎関節の運動を妨げる要因を外科手術により除去する外科的療法が検討されます。もちろん、外科的介入は最終手段とされるので十分かつ入念な診査診断とそれによる慎重な判断が求められます。

治療期間:手術後の回復期間を含め、数ヶ月、場合によっては1年以上要することがあります。術後のリハビリテーションも非常に重要で長期的な経過観察が必須です。

 

6. 矯正治療

上顎と下顎の位置関係や噛み合わせの不調和によって顎関節に負担が生じている場合、矯正によって噛み合わせや顎の位置の誘導を行うことで症状の改善を図ることができます。

治療期間:矯正治療で3~5年ほどかかり、その後さらに保定装置(リテーナー)の装着を行う必要があります。なお、矯正治療でどれだけの歯や顎の移動をさせる必要があるのかによって矯正治療で用いる器具器材が異なるので治療期間が大きく変動します。また着脱可能な器具での矯正治療において、器具の装着時間が不足していたりすると治療期間が延長することがあります。


まとめ

顎関節症の治療期間は、選択する治療法や症状の重症度、個人差によって大きく異なります。早期の診断と適切な治療、そして日常生活でのセルフケアが、症状の改善と治療期間の短縮に寄与します。顎に違和感や痛みを感じた場合は、早めに歯科医師や専門医に相談し、自分に合った治療法を選択することが重要です。

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