顎関節症で耳が痛くなることはありますか?
投稿日:2025年1月15日
カテゴリ:顎関節症
顎関節症は、顎関節やその周囲の筋肉に影響を及ぼす疾患ですが、その症状が耳の痛みとして現れることがあります。このようなケースは決して珍しくなく、多くの患者が「耳が痛いので耳鼻科を受診したら、実は顎関節症だった」と診断されることがあります。本記事では、顎関節症による耳の痛みの原因やメカニズム、そして治療方法について詳しく解説します。
顎関節症で耳が痛くなる原因
主な原因には以下のようなものがあります:
1. 顎関節と耳の解剖学的な関係
耳の痛みが顎関節症に関連して起こるとき、顎関節と耳が解剖学的に近接している点を考えなければなりません。顎関節は耳の穴のすぐ前に位置しており、顎関節の動きや顎関節への過大な負荷が耳に影響を及ぼすことがあります。
2. 筋肉の過緊張
顎を動かす筋肉が必要以上に緊張することで、顎関節に負荷が生じ、それが原因で耳の周囲に圧迫感や痛みが生じることがあります。咬筋や側頭筋といった大きな筋肉の過剰な使用が原因となることが多いです。
3. 神経の関連痛
顎関節周囲には三叉神経や顔面神経が走行しており、これらが顎関節にかかる過度な力で刺激されることで耳の痛みとして感じられることがあります。
4. 関節円板の異常
顎関節内にある関節円板とよばれる軟骨組織がずれる(関節円板転位)と、顎の動きが不安定になり、その影響が耳の周囲に伝わることがあります。また、関節円板自体が転位したまま戻らなくなると、関節の嵌入部の骨同士が直にこすれ合うことで関節自体だけでなく耳の奥がズキズキと痛むような感覚が生じます。
耳の痛みを伴う顎関節症の関連症状
耳の痛みを引き起こす顎関節症の症状には、以下のようなものがあります:
- 耳の圧迫感や詰まった感じ
- 耳鳴りや難聴感
- 耳の奥のズキズキとした痛み
- 顎を動かすと耳周辺に違和感や痛みがある
これらの症状は耳自体の異常で生じることもありえます。そのため、診査診断をしっかり行い、顎関節症との関連性があるかをしっかり見極める必要があります。
治療方法
耳の痛みを伴う顎関節症の治療は、原因に応じた適切なアプローチが必要です。
1. 顎の安静
- 顎の安静を保つ
まず何よりも大事なのは顎の安静です。顎の負担を減らすために、硬い食べ物を避け、柔らかい食事を心がけると良いでしょう
2. 歯科医院での治療
- スプリント療法
夜間に装着するスプリント(マウスピース)で、顎関節の位置を安定させることで顎関節にかかる負荷を軽減することができます。 - 咬み合わせ調整・治療
咬み合わせの不良が原因である場合、歯科医による調整が必要です。歯を削って高さを下げることもあれば、逆に歯に材料を接着して高さを挙上することもあります。また、必要に応じて上顎と下顎の位置関係を改善するような矯正治療が必要になることがあります。 - 口腔外科での治療
顎関節症が進行、重症化して顎関節が骨と癒着するなどして運動制限されている場合、口腔外科での治療が必要です。
3. 理学療法
- マッサージやストレッチ
- 顎周囲の筋肉をほぐし、緊張状態を緩和することで顎関節にかかる負担を軽減させることができます。それにより、耳周囲組織へのダメージを和らげることができます。
- 物理療法
超音波や低周波治療を用いて血行を促進し、筋肉の緊張を緩和します。
4. 薬物療法
- 鎮痛剤や筋弛緩薬
耳や顎に生じた痛みを軽減し、他の治療効果を向上させます。 - 抗炎症薬
関節や筋肉の炎症を抑え、炎症によって生じた痛みや機能障害を改善するために使用されます。
まとめ
顎関節症が原因で耳が痛くなる場合、適切な診断と治療を受けることで症状を改善できます。痛みが続く場合は、早めに歯科医に相談し、自分に合った治療法を見つけましょう。また、セルフケアや日常生活の習慣を見直すことで、再発を防ぐことも可能です。耳の痛みや顎のトラブルの関連性が気になる方は、まずは当院での相談からいかがでしょうか。
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