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顎関節症で手術が必要になる状態とは?

投稿日:2024年3月12日

カテゴリ:顎関節症

顎関節症になった場合、口腔内装置(マウスピースなど)の装着や投薬治療、マッサージ(理学療法)であったりボツリヌストキシン治療が用いられることが昨今では通法となっています。しかし、それらを実施したにも関わらず症状が改善しない場合、外科的アプローチを選択することもあります。顎関節症くらいで外科が必要になるときなんてあるのか?と思われるかもしれませんが、顎関節症の症状が生活に支障をきたすほど重度になったり、症状に悩まされる期間が長引いてくると十分選択肢になりえます。歯科領域における外科処置のなかでも大規模なものになるので、入院が必要になるケースもあります。

今回はその顎関節症において外科手術が必要になる状態と、それぞれの外科手術の種類や内容を説明したいと思います。

 

前提条件として、顎関節に外科的アプローチを行う前には諸々の可逆的アプローチ(マッサージなどの理学療法やマウスピース装着など)を講じたが効果的でない、または効果がない場合に検討されるものであるということを念頭に置く必要があります。基本的に外科的アプローチを選択される時点で顎関節症の進行度としては重度であるのはほぼ間違いないです。そのなかでもさらに症状や状況に応じた外科的治療法を紹介します。

a.様々な治療法を試しても顎関節周囲の強い炎症(痛み)の消退が認められない場合 … 「関節腔洗浄法」を行います。顎関節相当部を麻酔した上で、ヒアルロン酸あるいは生理食塩水を用いて炎症性物質を洗い流す方法です。関節腔内にそれらを注射する一方で、排出するためのドレーン用の孔も設けます。洗浄後は抗炎症薬を流して終了します。原則入院の必要はありません。

b.顎関節および関節円板が癒着を起こしている場合 … レントゲンやCT、MRIなどで顎関節の骨の癒着や関節円板の癒着が見られると「顎関節内視鏡下手術」を行います。関節鏡とよばれる内視鏡を用います。基本的に有意識下では行うことはありませんので、睡眠治療と併用します。関節腔洗浄法と同じく相当部に麻酔をした上で内視鏡用の孔と外科器具挿入用の孔をあけます。内視鏡下で器具を用いて癒着部分を引き剥がします。全身麻酔下で行うことや経過観察なども含め、入院が必要になります。

c.上記全てを実施してもなお顎関節のトラブルがある場合 … 「関節円板除去術」を行います。もちろんこの処置は慎重に診査診断し、処置に伴うリスクを説明した上で行う必要があります。文字通り、顎関節の運動を本来の機能を発揮できずにかえって妨げてしまっている関節円板を除去する手術です。

基本的に顎関節症において顎関節に直接行う外科的アプローチは、審査診断の結果必要性が認められれば保険適用になることが多いです。しかし、専用の設備や器具機材が必要となるため、大学病院などの口腔外科のある専門医療機関で行われることがほとんどです。

 

最後に、顎関節において外科的アプローチが必要な段階に至るまでなにかしらの前兆のようなものが大抵はおこります。たとえば関節雑音(ポキポキ、カクカクと顎が鳴るなど)であったり、関節が引っかかるような感じがして口を開けにくくなったり、それらに伴って関節が痛んだりした場合、それは顎関節症が進行しているサインです。そのサインをどう解釈してアクションをおこすかが顎関節やそれを動かす筋肉、ひいては口の中の歯や骨などをまもることに繋がっていきます。

当院では噛み合わせや頭蓋の分析のほかに、顎関節の運動を記録検査できるキャディアックスを用いての精密診断も行っています。顎関節のトラブルが気になる方はまず当院で検査からいかがでしょうか。

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