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歯ぎしり食いしばりで歯周病が悪化するって本当?

投稿日:2026年7月1日

カテゴリ:歯ぎしり・食いしばり

「歯周病の治療をしているのに、なかなか改善しない」

「指導された通りしっかり歯磨きしているのに、歯ぐきの状態が改善しない」

歯周病、昔の言い方だと歯槽膿漏ともいいますが、多くの方は「歯ぐきに起こる細菌によるトラブル」というイメージをお持ちかもしれません。もちろんそれは正解です。

しかし実は歯周病の進行には細菌だけでなく、歯や歯の周囲の組織に加わる過剰な力も大きく関係しています。特に日夜問わず慢性的に歯ぎしり食いしばりをしているのであれば、歯や歯ぐき、顎の骨に大きな負担をかけ、歯周病を悪化させる要因となることがあります。

今回は、歯ぎしり食いしばりがどう歯周病の発症や悪化に関わるのか、その関係について詳しくお話しようと思います。

 

歯周病は細菌だけが原因ではない

歯周病は基本的には、付着した歯垢(プラーク)や磨き残しの中の歯周病原菌によって引き起こされる炎症性疾患です。

歯ぐきが腫れたり出血したりする段階では歯ぐき(歯肉)にのみ炎症が生じている状況なので、文字通り歯肉炎といいますが、それが更に進行すると歯ぐきの下に存在する歯を支える骨にまで炎症が波及していきます。その状態こそ歯周病と呼ばれ、積極的な治療が必要になります。

しかし実際には、細菌という単一の原因によるものではなく

・喫煙
・全身疾患(代表的なものとして糖尿病)
・ストレスによる自律神経の乱れ
・生活習慣
・歯や歯の周囲組織に加わる過剰な力(歯ぎしり食いしばり)

など、複数の要因が相互作用的に絡み合って発症・進行します。

 

歯ぎしり食いしばりの力は想像以上に強い

通常の食事で歯に加わる力は数十キログラム程度とされています。一方で歯ぎしり食いしばりでは、自分の体重やそれ以上の力が加わることもあります。さらに睡眠中は日中よりも強い力が長時間続く場合があります。

この過剰な力がかかると、歯を介して歯の周囲の組織(骨)へ大きな負担を与えるのです。

 

歯周病を悪化させる理由① … 歯を支える組織がダメージを受ける

歯は顎の骨に直接くっついているわけではなく、歯根膜というクッションのような組織を介して骨に支えられています。

しかし強い歯ぎしり食いしばりが続くと、

 ・ 歯根膜への負担増加
 ・ 歯槽骨へのダメージ
 ・ 歯の動揺

などが起こりやすくなります。健康な組織であればある程度耐えられますが、歯周病で弱った組織ではさらに大きな影響を受けやすくなります。

 

歯周病を悪化させる理由② … 骨の吸収が進みやすくなる

歯に強い力が加わると、骨への負担が増大します。

その結果、

 ・ 歯槽骨の吸収が進行する
 ・ 歯がぐらつく
 ・ 歯周病の進行が加速する

可能性があります。しかし、歯へ強い力を与える、という点でいえば歯並び矯正と条件は同じです。違う点があるとしたら、歯を動かす力がコントロールされたものであるかそうでないかと言えます。歯ぎしり食いしばりのような無秩序な歯を動かそうとする力によって、歯周病原菌が存在しないにも関わらず歯の周囲の骨があたかも歯周病のように溶けていくのは、そういった背景があります。

細菌だけでは説明できない骨吸収の背景に、歯ぎしりや食いしばりが隠れていることも少なくありません。

 

歯周病を悪化させる理由③ … 歯ぐきの炎症が治りにくくなる

歯周病治療では細菌の温床となっている歯石やプラークを除去し、それらが原因の炎症を抑えることで歯ぐきの治癒・回復を促します。しかし歯ぎしり食いしばりによる負担が慢性的に続いていると、組織(骨)が常に刺激を受ける状態になります。例えるなら、擦り傷が治癒しようとしているところをこすり続けているような状態です。

そのためにちゃんと歯周病治療を下にもかかわらず治癒が遅れたり、症状が収まらないことがあります。

 

歯周病を悪化させる理由④ … 歯のヒビから雑菌が侵入することがある

強い歯ぎしり食いしばりによって歯に細かなヒビが入ることがあります。そのヒビの程度にかかわらず、ヒビの部分から毛細管現象の要領で細菌が侵入しやすくなります。この場合、歯の奥へ、というよりヒビを伝ってその歯の周囲組織へ侵入し、歯ぐきの炎症の起点となってしまうわけです。

 

こんな症状があれば歯ぎしりが関係しているかも

歯周病症状がある状況に加えて、以下のような症状がある場合は歯ぎしり食いしばりが関与している可能性があります。

 ・朝起きると顎が疲れている
 ・歯がすり減っている
 ・歯の根が見えていて、それが欠けている
 ・知覚過敏がある
 ・詰め物や被せ物がよく外れる
 ・頬の内側に噛み跡がある

これらのサインは、歯に過剰な力がかかっている可能性を示しています。つまり、歯をの周囲の組織にも何かしらの影響を及ぼしていることを意味します。

 

歯周病治療と歯ぎしり対策はセットで考えることが大切

歯周病の治療・改善には歯周病原菌のコントロールが大原則です。しかし、それだけでは十分ではない場合があります。

歯ぎしり食いしばりが認められる場合には、

 ・ マウスピース(ナイトガード)の使用
 ・ 噛み合わせの確認・調整、必要に応じて噛み合わせ治療
 ・ ストレス管理
 ・ 生活習慣の改善

なども併せて行うことが重要です。

炎症のコントロールと力のコントロール、その両方に取り組むことで歯周病の消退および口腔内環境の安定につながります。

 

まとめ

歯周病原菌は歯周病の原因の一つに過ぎず、それだけで進行する病気ではありません。

歯ぎしり食いしばりによる過剰な力が加わることで、

 ・歯周組織(歯の周囲の骨)へのダメージ
 ・歯の周囲の骨吸収の慢性的な進行
 ・歯ぐきの炎症消退の遅延

などが起こり、歯周病を慢性化、または悪化させる可能性があります。

歯石除去や投薬治療などの歯周病治療を行っているにもかかわらず症状が安定しない場合、その背景に歯ぎしり食いしばりが隠れていることもあります。

大切な歯を長く守るためには、細菌への対策だけでなく、歯やその周囲組織に加わる力にも目を向けることが重要です。

歯周病にも歯ぎしり食いしばりにも悩まされている方は、一度歯科医院で噛み合わせや歯への負担について相談してみてはいかがでしょうか。

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